特集
vol.5『祝蕾(しゅくらい)』~祝蕾の栽培方法②~
定植
・本葉4~5枚の苗を、畝幅120~130cm、条間50cmの2条立てで、株間60cm程度を目安に定植。
・株を大きく生育させることが収量増につながるため、あまり株間を狭くしないよう注意する。
・北関東や南東北などの寒さが厳しい地域では、ハウス栽培を基本とし、生育適温(15~20度)の期間が短くならないようにする。
追肥
・年内までに1~2回の追肥を行い、収穫前までの株作りに努める(目安:1回目は定植から約20日目、2回目は1回目の約20日後)。わき芽形成までの葉枚数確保が収量増につながる。
・わき芽の肥大は生育の終盤に強く起こるため、生育後期も肥切れしないようにする。温度が低くなると冬期は肥料の効きめが穏やかになるので、追肥遅れのないよう施す。
・追肥と同時に除草を兼ねて軽く耕す。土をほぐすことで土壌に酸素を与えて根の動きを良くし、除草をすることで光が畝に十分あたるようになるため、地温上昇が見込める。
その他必要な作業
・低温、降霜により葉先や頂芽にアントシアニンが発生することもあるため、気温が下がってくる時期に合わせて被覆を行うとよい。葉が傷むこともあるが、収穫物には影響はない。
・栽培期間中はウイルス病の媒介を行うアブラムシに注意し、早期防除に努める。また、防虫ネットによる被覆も効果的。
収穫
株を真上から覗き込んだときに、中心部に芽の塊が見えるようになれば収穫間近。
メインの収穫物は大きく広がった葉の付け根で葉に囲まれるようにできているので、十分なサイズのものを順次折り取るように収穫するか、または株ごと引き抜いて一機にばらしての収穫も可能。
わき芽以外も、葉は高菜として、中心部の茎も食用として利用できる。外側の大きい葉は硬いので基本的に内側の柔らかい葉がよい。
使用できる農薬は?
栽培する季節柄、栽培初期はアブラナ科野菜の例にもれず、アブラムシやアオムシ、ヨトウムシなどの被害は避けることができない。農薬は「野菜類」のほか、「なばな類」の登録農薬が使用できるが、使用回数を減らすためにはネットを被せるなどして防除するか、見つけ次第こまめに取り除くことが重要。
トウ立ちした時の対処法
祝蕾はアブラナ科のなかでもカラシナの仲間に属し、長日条件で花芽の形成が促進されるという性質を持っている。したがって、播種時期が早すぎると日長の影響を受けて、年内に花芽をつけてしまうことがある(花芽形成をさせない種まきのタイミングはおよそ9月上旬以降。)
もし花芽がついてしまった場合は、その花芽は早いうちに摘み取る。花芽をつけてしまった場合でも、その後発生するわき芽から収穫物が得られるので、そのまま栽培を続けても問題ない。(花芽をつけない場合より収穫が遅れることがある。)
寒さ対策は?
寒さにはさほど強くないため、0℃を下回る寒さでは凍結してしまい、うまく生育できなくなってしまう。ハウス利用やトンネル被覆などでの温度管理が必要となる。その他、降霜が予想される場合は前もって不織布などで被覆するなど、なるべく凍結させないような準備をする。
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